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野球選手として『高いレベルでプレーしたい』なら早い年代からトレーニングを開始すべき

野球選手として『高いレベルでプレーしたい』と考える選手は、いつ頃からトレーニングを開始すべきなのでしょうか?

上記の疑問に対しては、指導者から医師までが様々な意見を述べています。

本記事では、“野球選手として『高いレベルでプレーしたい』場合に、いつからトレーニングを開始すべきなのか?”という疑問に対して、現時点での私の考えをまとめます。

これまでに、私はS&Cコーチとして、以下の年代の「野球選手」に対するトレーニング指導を経験しています。

・小学生
・中学生
・高校生
・大学生

この経験の中でたどり着いた、現時点での答えをご紹介します。

※多くの野球選手が目指すのは、「プロ野球(NPB)」だと思いますので、この記事では“NPB入りを目指す若い野球選手”を想定して、理想のトレーニング開始時期について検討していきます。

目次

野球選手として『高いレベルでプレーしたい』なら早い年代からトレーニングを開始すべき

野球選手として『高いレベルでプレーしたい』と考える選手は、いつ頃からトレーニングを開始すべきなのでしょうか?

上記の疑問に対しては、現場やメディアにおいて、指導者から医師までが様々な意見を述べています。

私が見聞きした意見の中には、
・中学生は体が出来上がっていないからトレーニングは早すぎる
・体が出来上がる高校生からがいい
・技術が熟練してくる大学生や社会人になってからでいい
といったものがあります。

どの意見も一理あるとは思いますが、私の意見は少し異なっています。

これまでに、私はS&Cコーチとして、以下の年代の「野球選手」に対するトレーニング指導を経験しています。
・小学生
・中学生
・高校生
・大学生

こういった経験に基づき、私は“野球選手として『高いレベルでプレーしたい』なら早い年代からトレーニングを開始すべき”だと考えています。

そのように考える理由を解説する前に、押さえておきたい前提について説明します。

トレーニングがパフォーマンスの向上に結びつくまでには、ある程度長い期間が必要

まず前提として“トレーニングがパフォーマンスの向上に結びつくまでには、ある程度長い期間が必要である”ということを理解する必要があります。

トレーニングによって向上するのは、『身体能力』です。
そして、向上した『身体能力』に最適な『スキル』を身につけるためには、技術練習が必要です。
※トレーニングによる『身体能力』の向上≠『技術』の向上

そして、このプロセスを踏むことで、以前より高い『パフォーマンス』を発揮することができます。
※実際には『身体能力』や『スキル』以外の要因も『パフォーマンス』に関わっている

経験上、数値でわかるくらいのパフォーマンスの変化(例:球速が〇km/h向上した など)を起こすには、最低でも数年間は上記のプロセスを継続する必要があると感じています。

このように、“トレーニングがパフォーマンスの向上に結びつくまでには、ある程度長い期間が必要である”ということです。

▼この考えについては、河森さんの記事が大変参考になります。

“結果(試合でのパフォーマンス)が求められる時期”までにパフォーマンスを高めておく必要がある

先程の前提を踏まえて、“野球選手として『高いレベルでプレーしたい』と考える選手は、いつ頃からトレーニングを開始すべきなのか?”という疑問について、私の考えをまとめます。

トレーニングを開始する時期を検討する際に考えておきたいのが、『“結果(試合でのパフォーマンス)が求められる時期”がいつなのか?』ということです。

野球選手の多くが目指すのは「プロ野球(NPB)」だと思います。
したがって、この記事ではNPB入りを目指す若い野球選手を想定して、理想のトレーニング開始時期について検討していきます。

若い野球選手がNPB入りをするタイミングとしては、以下の2つが多いと思われます。
・高卒(18歳)
・大卒(22歳)

この年代でスカウトされNPBに行くためには、この時期までに周囲の選手より高いパフォーマンスレベルに到達している必要があります。

具体的には、
高校生:3年生の夏の大会
大学生:4年生の秋リーグ
です。

ここで、先ほど説明した前提を思い出してください。
“トレーニングがパフォーマンスの向上に結びつくまでには、ある程度長い期間が必要である”ということです。

高いパフォーマンスレベルで、“結果が求められる時期”に臨むためには、その時期の数年前からトレーニング開始しておく必要があるのです。

例えば、高卒でNPB入りを目指すのであれば、遅くても高校1年生でトレーニングを開始しなくては、パフォーマンスが向上する前に高校野球が終わってしまうという事態に陥ります。

“結果が求められる時期”が近くなってから、慌ててトレーニングを実施しても、求めている変化は期待できないでしょう。

したがって、“トレーニングがパフォーマンスの向上に結びつくまでには、ある程度長い期間が必要である”という前提に基づいて、“結果が求められる時期”の数年前からトレーニングを開始するのがベストであると考えられます。


若いうちは体が出来上がっていないからガシガシとトレーニングさせるべきではない?

ここまでの内容に対して、「若いうちは体が出来上がっていないからガシガシとトレーニングさせるべきではないのでは?」という意見をお持ちの方がいらっしゃるかと思います。

その意見には一部賛成であり、私も「ガシガシとトレーニング」をさせるべきではないと思っています。というより、若い選手がいきなり「ガシガシとトレーニング」することは不可能です。

小、中、高校生は、初めてトレーニングに触れる選手がほとんどです。
競技歴が長いからといっても、トレーニングに関しては初心者といえます。

そのため、彼らに対するトレーニング指導は「トレーニングの基礎づくり」からスタートします。

「トレーニングの基礎づくり」は、フォームを覚えさせ、そのフォームである程度の重量を扱えるようにさせるというプロセスです。このプロセスを踏まないと、トレーニング中の怪我のリスクが高まったり、トレーニング効率が悪化したりします。

また、子どもは、発育スピードの違いによって身体能力に大きな個人差があります。
ですので、できるだけ慎重にプログラムを進行する必要があります。

したがって、若い選手がいきなり「ガシガシとトレーニング」することは、そもそも不可能だと考えています。

早い年代からトレーニングを開始すべき理由

早い年代からトレーニングを開始しておくことで、“結果が求められる時期”に高いパフォーマンスレベルで臨むことができます。ゲームで高いパフォーマンスを発揮できれば、スカウトされる(=プロ野球の世界に進める)可能性が高まります。

例えば、中学生のうちにトレーニングの基礎作りを行っておくと、高校1年生の段階でしっかりと負荷をかけたトレーニングを実施することができます。2年半しっかりとトレーニングを継続できていれば、高校3年生の段階でパフォーマンスレベルが高まっている可能性が高いです。
また、高校生のうちにトレーニングの基礎作りを行っておけば、大学生になってからすぐにハードなトレーニングに移行できます。

このように早い年代からトレーニングを開始しておくことで、“結果が求められる時期”に高いパフォーマンスレベルで臨むことができます。

そうすれば、スカウトされる可能性も高まります。

逆に、トレーニングを開始するのが遅くなればなるだけ、パフォーマンスが向上する時期も遅れてしまいます。
歳を重ねれば、スカウトされる可能性も低くなるはずです。

このような理由から、野球選手として『高いレベルでプレーしたい』なら早い年代からトレーニングを開始すべきだと考えます。

まとめ

安全面への配慮が十分であれば、早い年代から積極的にトレーニングを実施した方が“結果が求められる時期”に高いパフォーマンスレベルで臨むことができます。

私の経験上、中学2,3年生であれば、ある程度の負荷を扱わせても十分安全にトレーニングを実施できています。

したがって、(現時点では)中学2,3年生くらいからトレーニングを開始するのが、『高いレベルでプレーしたい』若い野球選手にとっては理想だと思います。

ちなみに、僕がトレーニングに出会ったのは大学3年生の時でしたが、時すでに遅し。
トレーニングを積まずに生まれ持った身体能力だけで野球を続けてきたわけですが、パフォーマンスが伸び悩み、平凡な選手で終わりました。

「もっと早いうちから、きちんとしたトレーニング指導者のもとでトレーニングを積めていたら…」なんて思いを現役選手にはしてもらいたくないですね。